おいらがサラリーマンだった
入社した約40年前の話
おいらが入社した頃
今のような原宿とは
少し違って
少し大人達がいた。
おいらの会社の商品部は
原宿駅の竹下口をまっすぐ歩き
明治通りにぶつかったちょうど角
ビコーズビルの5階に
おいらの会社の商品部があった。
会社には全国のフランチャイズさんの
雑貨や靴クリームなどの
卸の商材と直営店の少しの在庫と
各店舗の袋のストックと
かなり古いV社のノベルティがあった。
先輩達は皆おしゃれで
オーラがあった。
自社製品を履かずに
高級輸入ブランドを身につけていた。
もちろんほとんど自社で輸入しているものなのだが
先輩達の中にはV社からやってきた方がおおかった。
もうすでにおいらが入社した頃には
V社は倒産していた。
5階から4階の踊り場に降りると
青山通りのVAN の本社の看板が大きく見えた。
先輩達は倒産前から
ヘッドハンティングと言うよりも
ジョイントベンチャーで
V社とR社が靴と服のお店を立ち上げるための
スタート人員だった。
なんせおいらは
服のことも靴のことも
ましてライフスタイルなんぞ
知るはずもなかった。
飯を食いに行ったり
酒を飲んだりすると昔の話しと音楽の話
時には映画や車の話まで
世が明けるまで酒とトークで過ごした。
おいらが期待してた話は
ファッションのことやアイビーに
ついてだったが
残念なことにそこにはあまり
触れてくれなかった。
部長のカラオケは決まってGSか湘南サウンドか
加山雄三さんに決まってた。
係長はたまにGS たまにフォーク
だけど音楽の話になると
決まってブラフォーだった。
部長がモダンフォークを語ると
新宿歌声喫茶の話
おいらにはさっぱりわからなかった。
部長はブラフォーかキングストントリオと学園紛争と米軍基地の話がメインだが
たまに高倉健さんの話にもなった。
課長、係長はビートルズ
係長達は高校を、サボって
武道館までビートルズを見に行った話を
おいらに何度も何度もしてきた。
しかしながら
ビートルズの話は上下関係のせいから
すぐに揉み消されて
ブラフォーと森山良子と学園紛争の話に必ずなった。
おいらにとって初めの頃は
ブラフォーもキングストントリオも
良く分からず
ブラフォー達の髪型がアイビーだから
アイビーの方達はこの
音楽でなければ
ダメなんだとインプット
するようにした。
考えてみると係長達は長髪で
バリバリ感が
感じなかった。
フレアーのパンツにクラークス
シャツよりもポロシャツで
決まってラコステだった。
その点、部長は短髪はひちさん
ボタンダウン姿は見たこと無いし
着てるスーツもブリテッシュ
だけどどことなく
IVY 的な感じをいつも感じていた。
そんなおいらは
R社の靴よりもナイキやアディダスが好きな
ダメダメ社員だった。
いつかまた続く
あばよ